トラウマによる症状
PTSDの症状
こんにちは。心理師の浅見です。
今日は、トラウマによる症状についてザックリと大枠のご説明をしたいと思います。少し、専門的な用語が多くなっていますがトラウマ症状を理解するうえで大枠を理解することは、ケアを進めていく上でとても重要なものとなってきます。
トラウマの影響は、症状として現れ、症状同士が互いに関連しあい生きづらさへと繋がっていきます。
【例えば】
トラウマ体験により、同じような状況（時間帯・匂い・天気・温度）により、
突然、『あの時と同じ』が意思とは無関係に思い出され、感情のコントロールが出来なくなる。
⇒ イライラして周囲にあたる。ミスをする。何をやってもうまくいかない。
⇒ 自分は無力だ。ダメな人間だ。
⇒ これからもうまくいく気がしない。こんな自分を愛してくれる人なんているはずがない。
⇒ 不安で眠れなくなる。体調も悪くなり益々状態は悪くなる…
一つの例えではありますが、
トラウマ症状は、一つの症状だけにとどまらず、一つの症状が次の症状を呼び、
またその症状が次に繋がりと雪だるまのように、どんどん、どんどん大きくなり生活の質を落としていきます。
その主たる症状の理解にトラウマ体験後に起こるPTSDや複雑性PTSDの診断基準にあげられている症状が参考になりますのでご紹介します。
【PTSDの症状】
１．再体験
トラウマ体験時の記憶が勝手によみがえる。記憶の調節障害の現れの一つ。
（悪夢を見る・物忘れが多くなる・フラッシュバック…）
２．脅威感
神経系統の高ぶり、もしくは凍りつきが続く。体の状態がコントロールできなくなる。
（眠れない・常にイライラしてしまう・焦燥感にかられる・食欲不振…）
３．回避
トラウマ体験を思い出すような状況を避け続ける。適切な行動がとれない。
（話をしなくなる・部屋にこもる・人付き合いを避ける・特定の人やものに依存する（アルコールや薬物・自傷行為…）
＊ICD-11が定めるPTSD症状は上記３つ。DSM-5では、このほかに認知気分の否定的な変容も含めている。
トラウマの後遺症として現れるPTSDの主な症状は上記３つですが、トラウマの影響はそれだけにとどまるわけではありません。
トラウマの影響は、【調節障害】といわれ、自分をコントロールすることが難しくなります。
先ほどお伝えしたPTSDの３つの主症状そのものも調節障害と言えます。
さらにPTSDの３つの主症状にプラスして下記の症状がみられる場合は、複雑性PTSDとなります。
【複雑性PTSDの症状】（PTSD症状に＋）
・感情の調節障害
イライラしたり、急に悲しくなったり感情のコントロールが出来なくなったり、感情が麻痺して何をしても何も感じないといった状態になったりする。
・ネガティブな自己概念（認知調節障害）
認知のゆがみが生じ、極端な物事捉えかたをする。自分がこんな風になったのは自分が…（自責）、誰の事も信用できない。世の中は危険だ（不信感・絶望感）
・対人関係の障害
安定的な人間関係が結べない
程よい距離感が保てず、依存・共依存に陥りやすい。相手への期待や評価が両極端になりやすい。
過去の関係を繰り返してしまう（支配ー被支配etc)
＊慢性的で複雑化した心の傷ほど、より複雑な症状を示しやすくなります。PTSDの症状があったにも関わらず、適切なケアがなされておらず、頻繁にPTSDの症状を繰り返し、先ほど例に挙げたように雪だるまが大きく大きくなっていけば複雑性になっていっていくのは至極当然な流れとも言えます。
症状の現れ方には個人差があり、その時の状態によって強弱があります。しかし、いずれにしても、
自分の調節方法が分からなくなっている状態で、これから先の人生を安全に歩んでいくのは簡単ではありません。
症状にお心当たりのある方や、周囲に同じような症状でお悩みの方をご存じの方。もしかしたら…今、お読みになってくださっているあなたがご家族であったり、すでに支援なさっている方かも知れません。
症状に当てはまることは絶望ではありません。
症状であるということは、ケアが出来る。つまり改善することが出来るということです。
まずは、自分自身の心身に何が起きているのか一緒に確認していきませんか？
正しく自分を理解することで自分に合った自己調節方法を学ぶことが出来るようになります。
トラウマケアは、怖いものでは全くありません。どのトラウマケアもゆっくりとその人のペースでトラウマ理解から始めていくものとなっています。
お読みくださっている方がブログを通じて、一歩を踏み出すきっかけとなったら嬉しいです。
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次回は、PTSDの主症状を一つづつ取り上げていきたいと思います。
また次回のブログでお会いしましょう。
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