PTSDの症状②

【脅威感】~眠れない・食べられない・集中できない・イライラする~

こんにちは。今日は、トラウマによるPTSDの症状の一つである『脅威感』についてお話ししたいと思います。

前回は、再体験について投稿しているので、ご興味がおありの方はこちらからご覧ください。⇒(

では、本日のテーマ『脅威感』について。

皆さんは、ホメオスタシスという言葉をお聞きになったことはありますか?

通常、人のからだは、体の働きを調整してくれる自律神経系、ホルモンの分泌を司る内分泌系、異物から身を守るための免疫系の働きを通じて、最適な身体状況を保てるように調節されています。こうした仕組みの事をホメオスタシス(恒常性維持)といいます。

人が危機的状態に面したとき、どうにか対応し生き抜こうと脳の覚醒水準は一気に高まります。神経系統では交感神経が優位となり眠れなくなったり、イライラしたり、些細な刺激に反応していしまい集中することが難しくなったりします。これが過覚醒と言われる状態で、それ自体はごくごく自然なことであり誰にでも起きる反応といえるでしょう。

そして、通常であれば先ほどお話ししたホメオスタシスの機能により、危機的状態が過ぎると時間と共に体は通常モードに調整されていくように出来ています。交感神経優位な闘うか逃げるか状態から徐々にリラックスモードの副交感神経系へと切り替わっていきます。

しかし、問題となるのは、一定の期間(おおよそひと月以上経過しても)を過ぎても脅威感が消えず、この過覚醒の状態が続くことです。トラウマ体験は、危機的状況が実際には過ぎ去っても脳が『危険な状態にある』と判断している状態であり、それがPTSDの診断症状となるのです。

【脅威感の症状】

眠れない

食べれない

イライラして些細なことで激しく怒ったり攻撃的になる

些細な刺激に過敏となり集中力が低下する

血圧の上昇や免疫機能の低下

抑うつ状態

感情の平板化

トラウマによるPTSDの症状がケアされず上記のような過覚醒状態が長引くと精神的な不調だけではなく様々な体のバランスが崩れ身体的な病気に繋がっていくこともあります。

以前、Aさんという対人関係についてご相談にいらしていた方がいました。

その方がふと、「毎年6月頃になると膝に鈍い痛みがあり歩行が困難になるんです。病院で検査をしても異常はないといわれ、原因が分からないから余計に憂鬱になってしまって…」

とお話しなさるので、膝の痛みをターゲットにトラウマケアの一つであるホログラフィートークを実施しました。

*ホログラフィートークについては⇒(★)

ホログラフィートークのプロトコルの中に頭の中に時計をイメージし、その時計を逆回転させていくと、原体験のあった場面で時計の針がピタッと止まるのですが、Aさんの場合。時計の針が止まったのは、小学校のプールの授業でバタ足の指導をされている場面でした。

先生は、彼女に膝をまっすぐ伸ばすように指導しています。そして、彼女は言われた通りに膝をまっすぐにしているつもりでした。しかし、何度も何度も「それはまっすぐとは言わない!」と叱られ、まっすぐにするにはどうしたらいいのか具体的なアドバイスがなかったため、途方に暮れた彼女はある行動をとりました。それは、自宅で毎日自分の膝のお皿を力いっぱい両手で押していたそうです。

実は、Aさん。成人してからASDの診断がなされました。発達特性から、自分のボディイメージと実際の差が掴みづらかったり、具体的ではない曖昧な指示が苦手だったりしたのです。しかも、彼女が小学生の頃は今よりもっと発達障がいへの理解は乏しく、指示を出すなら具体的に簡潔になどの配慮の仕方も先生自身研修がなかったのかもしれません。

それは、大人になったAさんの口からもそう話されていました。仕方がなかった状況については頭では理解できているのです。

しかし、それでも、『あの時、もっと寄り添って欲しかった。何度言わせるの!と怒鳴らず、こうしたらいいよと教えてもらいたかった。そうすれば、毎日泣きながら膝を力いっぱい押すことはしなかったと思う…』【あの時】の辛さを大人になった今も泣きながら話していました。

そして、ホログラフィートークの中で今までのツライ気持ちや今現在の悩みである膝の痛みなどを白い箱に収め、空の高いところに適切な指示を出せなかった先生と共に上がってもらい、代わりにAさんにとっての理想の先生を連れてきて、幼少期の彼女のして欲しかったことやかけて欲しかった言葉などをたくさんたくさん満足いくまでかけてもらい、身体全体を優しいあたたかな光でつつみその感覚をしっかりとアンカリングしてセラピーを終えました。

すると、2週間後のセラピーの時に、Aさんから『膝の痛みと時々思い出す先生の怒った声を思い出さなくなったと教えてくれました。』と嬉しい報告をいただきました。

少し話がそれましたが、彼女の膝の鈍い痛みは小学校時代のトラウマによるものだったのです。

小学校時代の叱責がトラウマとなって大人になるまでずっとフラッシュバックを引き起こしていたのです。

トラウマ反応にきずかず、ストレスを受け続けた結果、身体への症状として現れたという一例です。

このほかにもトラウマによる身体的影響と言われるのが喘息や過敏性大腸炎、原因不明な疼痛、慢性疲労症…などです。

危機的なトラウマ体験後、または繰り返される不適切養育をうけた後、一定期間が過ぎても先にあげた脅威性(過覚醒の状態)の症状が続いている場合、トラウマケアをお勧めします。

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次回は、PTSDの症状③として『回避』についてお伝えしたいと思います。

また次回のブログでお会いしましょう。

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