いじめの仕組みとその後に及ぼす影響
権力欲のもとにおこる『孤立化⇒無力化⇒透明化』
こんにちは。心理師の浅見です。
今日は、皆さんに是非一度手の取っていただきたい本があります。
それは、精神科医である故中井久夫先生の「いじめのある世界に生きる君たちへ」という本です。
表紙や挿絵は岩崎ちひろさんが描かれています。とても薄く大きな文字で書かれたこの本は、小学校高学年くらいの児童でも理解できるように書かれていますが、その内容は人との関係性におけるいつの時代もそこに横たわる課題を浮き彫りにし、その構造を明らかにしている作品だと思っております。
いじめだけにとどまらず、DVやハラスメントも同じ構造なのではないか…と感じています。
今日は、、その中井久夫先生の著書『いじめのある世界に生きる君たちへ』をもとに私自身が感じたことを交えてお伝えしたいと思います。
『いじめとは…』といった定義に関しては、リンクを張っておきますのでこちらをご覧ください ⇒ (★)
前回のブログでも少し触れたのですが、いじめは、端から見るとそれがいじめなのか、それともふざけあっているのかわからないということが良くあります。そこについて中井先生の著書の中ではこう書かれています。
いじめかどうかを見分ける最も簡単な基準は『立場の入れ替え』があるかどうか。
例として鬼ごっこがあげられていますが、じゃんけんで誰が鬼になるかを決めるのが普通の鬼ごっこ。
鬼がいつでも○○君・○○さんといったように立場の入れ替えがなければいじめ。
非常にシンプルで分かりやすいですね。
立場の入れ替えのない鬼ごっこはある感情や感覚を生み始めると言います。
それはいじめる側の『自分は他人を支配している』権力者としての感情やまわりの人々の『自分じゃなくて良かった』という安心感といった権力社会の縮図のようなものです。
これは、【いじめ=子どもの世界】といった限定的なものに限らず、家庭や職場、ママ友など、コミュニティが生じる場所にはついてまわるもので、どれも元をたどると同じ構造なのだ気づきます。
【強い立場ー弱い立場】・【支配ー被支配】
子どもの世界・職場・ママ友の中で起きるこの構造はいじめと呼ばれ、
職場ではパワハラと呼ばれることもあるでしょうし、
家庭の中では、虐待やDVなど言えます。
このパワーで推し測りあう関係のもと弱い立場・支配される側にいる人が
次にあげる三つの段階を経てどんどんと窮地に陥っていくと中井先生はおっしゃっています。
それは、
孤立化⇒無力化⇒透明化
この三段階。
中井先生は、この三段階を『いじめの政治学』というタイトルをつけ論文として発表なさっていますので
ご興味がある方は探してみてください。
【孤立化】

加害者は対象となるターゲットを決め、誰がターゲットになったのかを周囲に知らせます。ターゲットにならなかった人たちはほっとし、ターゲットにされた人から距離を置きます。それでもターゲットから距離を置かない人には、そんなことをすると身の破滅だぞと警告が発せられます。
次に、『いじめられるにはいじめられるだけの理由がある』とPR作戦に出ます。
この孤立化⇒無力化⇒透明化の三段階は、実に巧妙に…本来であれば注意を注意をするべき立場の人間すら巻き込み、
ターゲットとされた人から尊厳を奪い生きる希望を奪っていくものです。
いじめやDV、虐待は、犯罪です。
まずは、一人一人がそれをしっかりと理解することが大切だと思います。

